民泊の起こりと問題点4〜空き家ビジネスの出現〜

空き家ビジネスとしての民泊の台頭

このように、人との触れ合いや交流が重視されて広がりを見せてきた「民泊」だが、いつの間にかAirbnbなどのように、使っていない部屋をホテル代わりに貸し出す「空き家ビジネス」だけを「民泊」として言われるケースが多くなってきている。

「民泊」という言葉を調べてみると「民家に宿泊すること」と大辞林 第三版にはあるが、一方で、知恵蔵miniには「個人が住宅の空室などを用いて有料で宿泊を提供するサービスのこと。借り手のほとんどは外国人旅行者であり、貸し手(ホスト)たちは自分で宿泊料を決め、各自高級マンションから古い4畳半まで様々な部屋を提供している。2008年に米国で始まった旅行者とホストを結びつけるウェブサービス「Airbnb(エアビーアンドビー)」が広めた宿泊形態で、同サイトには世界191カ国・地域の3万4000以上の都市のホストが登録している。14年には日本法人も発足し、15年8月現在、全国で約1万3000の部屋が登録されるまでになった。また、清掃や通訳派遣などホスト向けサービスを代行する企業も次々と設立されている。しかし旅館業法で必要な営業許可を得ていないホストが多いとみられ、日本政府が実態調査に乗り出している。」とある。

インターネットの普及と、シェアリングエコノミーという考え方の広がりのなかで、この「空き家ビジネス」としての民泊が旅館業法等に違反しているとして話題となり、今後の規制緩和などの動向が注目されているのである。

◆Airbnbの広がりの背景

すでにお気づきかと思うが、この「空き家ビジネス」としての民泊に対して、観光業界以上に注目を注いでいるのが不動産業界である。

築年数が経ち空室が増えているにもかかわらず、土地の固定資産税はあがり、利回りは下がる一方。そんな、不動産オーナーを悩ませている「賃貸アパート・マンションの空室率」の問題を解消する切り札として民泊を活用しようというのである。

大田区や大阪府での

このAirbnbに代表される民泊サービスの台頭により、国家戦略特区※で民泊に対する規制緩和が認められるようになったわけだが、これは、これ自体が法的な強制力があるわけではない。あくまでも各地域に民泊の規制緩和を認める権限を与えたに過ぎず、それぞれ該当の地域が条例化しなければ意味をなさないのである。

そのなかで、他地域に先駆けて条例化したのが大田区や大阪府で、注目を浴びているというわけである。その内容は通常簡易宿所としての登録をしなくても部屋の貸し出しを行えるといったものであり、その条件として、簡易宿所としての客室面積が33㎡以上といった規制が緩和されたり、フロントの設置の必要がなくなったりといったものである。

しかし、これには滞在日数が7日以上でなければならないといった条件が付いている。

※国家戦略特区(東京都、神奈川県、千葉県成田市、千葉市、愛知県、大阪府、兵庫県、京都府、広島県、愛媛県今治市、福岡市、北九州市、秋田県仙北市、宮城県仙台市)

0 返信

返信を残す

Want to join the discussion?
Feel free to contribute!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です